松島町では、町全体の面積の約5分の1が耕地に利用されています。また農産物の中では米が最も多くの割合を占めています。
米の他の主な農産物としては、大豆、白菜、大根、ナス、レタス、ホウレンソウ、キュウリなど。
しかし、水田は毎年のように生産調整(水田の何%かの作付けを減らしていくという国の政策)を行うため、年々少なくなってきています。
その理由のひとつには、米が余っているという現状があります。
現代の日本では、大豆や麦の輸入量が非常に多くなっているため、国内での生産量を増やそうと、生産調整した水田で大豆や麦を育てている農家もあります。
そのほか畑ではハクサイやキュウリ、イモ、マメなど様々な作物が作られていますが、そのほとんどは自家用に使われているようです。
また畜産物の生産量はごくわずかですが、子牛を産ませて売るための繁殖和牛という牛を飼っている農家、卵を産ませて売るためにニワトリを飼っている農家や施設があります。

2000年(平成12年)には専業農家が30戸と少なく、農家全体の約5%ほどで、兼業農家が680戸と農家全体の約95%を占めています。
専業農家は、農業だけの収入で生活するために、様々な工夫をしています。
30年ほど前は、2haほどの水田があれば専業農家として生活することができました。
ところが、最近では専業農家として生活するためには10haほどの水田が必要になっています。
そのために、水田の面積が少ない農家は、安定した生活をするために農業以外の仕事もしているのです。
これらの農家の中には、稲作を他の農家に頼んでいる家もあります。
また、専業農家の中にも、安定した収入を得るために、新しい農業経営に取り組んでいるところがあります。
現在、行われているのは、よその農家の水田の耕作や、ミニライスセンターの経営、大規模なビニールハウスでのキュウリやトマト、花の栽培などです。
磯崎地区にあるサンフレッシュ松島では、温室でトマトを育てています。
この温室は、すべてコンピュータ管理がなされている他に、オランダの栽培技術を導入するなど、様々な新しい技術を取り入れています。
また、トマトは直接、土に植えるのではなく、ロックウール培地(天然石の輝(き)緑岩(りょくがん)を主成分とした綿状のもので肥料分を含む水に浸して栽培するのに用いる)というものに植えます。
ハウス内に土を必要としないため、清潔で、病気なども発生しにくくなっています。
さらに、ここでは自然受粉にこだわり、マルハナバチを使った方法や、いろいろな受粉の方法を取り入れる努力をしています。
畝の間に敷いたレールは、摘み取ったトマトを入れた箱を載せた電動台車や自動防除ロボットのためのものです。
このハウスでは一日に約1トンのトマトが収穫されます。
収穫されたトマトは大きさ別に箱詰めし、松島町内はもちろん、北海道から愛知県までのスーパーや東京のホテルなどに送られています。